1 提出期限延長の特例の改正
会社法上、企業は株主総会を、事業年度終了後一定の時期に開催することが求められています。議決権行使基準日を定めているときは、3カ月以内に株主総会を開催しなければなりません。通常、企業は議決権行使基準日と決算日を同日にしています。
法人税法上は確定した決算に基づき申告しなければなりません。会計監査人の監査を受けなければならない等の理由により決算が確定しない場合は、税務署長の承認を受けることにより1カ月の申告期限の延長が認められていました。そのため企業が決算日よりも後に議決権行使基準日を設定し、申告期限よりも後に株主総会を開催する場合、申告期限までに確定した決算に基づく申告ができませんでした。
平成29年度税制改正では、企業は決算日から3カ月を超えた日に定時株主総会を開催する場合、定時株主総会後に法人税の確定申告を行うことが可能になりました。これにより、定時株主総会までの時間的な余裕ができ、企業と株主・投資家との充実した対話を促すことにつながると期待されます。
2 改正の内容
会計監査人を設置している内国法人で、定款等により各事業年度終了の日の翌日以後3カ月以内にその事業年度の決算について定時株主総会が招集されない状況にあると認められる場合には、4カ月以内で税務署長が指定する月数の期間の確定申告書の提出期限の延長が認められることになりました。
改正以前より申告期限の延長の承認を受けている法人がこうした状況にあると認められる場合には、法人の申請により税務署長の承認を受けることで、確定申告書の提出期限を税務署長の指定する月数の期間に変更することができます。
3 延長の特例の適用の手続き
改正後の申告期限の延長の特例の適用を受けるためには、申告期限を延長しようとする事業年度終了の日までに「申告期限の延長の特例の申請書」を所轄税務署長に提出しなければなりません。この申請書には、定款等により各事業年度終了の日の翌日以後3カ月以内にその事業年度の決算について定時株主総会が開催されない状況にあることを確認できるものとして、定款等の写しやこれに加えて定時株主総会の招集月が確認できる書類の添付が必要です。