1 一般社団法人の設立をおススメする場合
➀就労支援事業を一般社団法人として立ち上げることで一般の法人よりも知名度をあげたい場合(その他節税をはかりたい場合)
➁同窓会、町内会、ボランティア団体などが法人名義の口座で金銭の管理を行いたい場合
➂法人名で財産の取得や経費の処理を行い、財務や収支を明瞭にしたい場合
➃外部からの団体の信頼性を担保するために法人化したい場合
➄公益性の高い事業を行うことが主目的だが付随して収益事業も行う場合
➅NPO法人設立に必要な社員(10名)や理事(3名)を集められない場合
➆法人としてすみやかに事業を開始したい場合
➇各事業年度に必要な行政庁への書類の提出を省略したい場合
2 一般社団法人とは
一般社団法人とは「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づき設立された社団法人をいいます。
一般社団法人の行う事業について制限はありません。収益事業も行うこともできます。ただし事業活動によって生じた剰余金を社員に対して分配することはできません。
一般社団法人の社員とは、通常の株式会社でいう従業員のことではなく、株主にあたる人を指します。
3 一般社団法人のメリット
設立について官公庁からの許可が不要です。また設立後も官公庁の監督下には置かれません。社員が定款を作成し、公証人の認証を受けたあとに法務局への設立登記の申請をするだけで設立できます(準則主義)。
また資本金は不要で、最低2名社員がいれば設立できます。理事も1人以上置かなければなりませんが社員との兼任が可能です。
任意団体とは違い一般社団法人は法人名義で不動産の取得や銀行口座の開設ができます。また法人ですので対外的に信頼を得やすいという点もあります。
4 一般社団法人のデメリット
資本金は不要ですが法人の設立のため定款認証の費用や登録免許税がかかります。また法人として法人住民税均等割が課され、収入についても原則として法人税が課されます。
理事の任期は原則2年間(選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時)ですので、任期が終了するごとに理事の変更登記の申請を法務局にしなければなりません。
5 非営利型一般社団法人
一般社団法人のうち公益活動が主な目的で、一定の要件を満たしたものを「非営利型一般社団法人」といいます。この非営利型には「非営利性徹底型」と「共益的活動目的型」があります。非営利型一般社団法人の特徴としては、収益事業のみに法人税が課されるということがあります。
また通常の一般社団法人の理事は1名以上ですが、非営利型は3名以上必要となります。なお一般社団法人の設立時に財産を受け入れる際、課税されずに拠出された財産を受け入れるためには理事6名以上、監事2名以上という税法上の要件を満たす必要があります。
非営利型一般社団法人は、通常の一般社団法人に比べると一定の要件を満たさなければならないなど若干ハードルが上がりますが、同じく非営利活動を目的とするNPO法人よりは設立や運営の事務手続きが楽になっています。